ゲオのイヤホンはこれまで「GRFD-SWE100QT13」「GRFD-TWS HT03」「GRFD-TWS T39」の3機種をレビューしてきました。ほかにもいろいろ出ていることは知っていて、ちょうど「QT13」と「HT03」の中間の価格帯(2980円)の「DT06」という機種でも買ってみようかな、と思ってゲオに行ってみたら、見たことない機種「GRFD-TWS HT05」を見つけてしまいました。ゲオのホームページを見てみたところ、10月7日に店頭販売を始めたばかりの新機種だということがわかり、4980円(税込5478円)というお値段に若干ひるみましたが(AirPods Pro 第2世代を買ったばかりだったので)、思わず買ってしまいました。
カラーバリエーションはブラック(BK)/ホワイト(WH)/レッド(RE)/ネイビー(NB)の4種類。今回は他の機種との比較を意識してホワイトを購入しました。
概要・特徴
ゲオ(GEO)の完全ワイヤレスイヤホン「GRFD-TWS HT05」(HT05)の特徴は以下のとおりです。
- 高性能ハイブリッドANC(アクティブノイズキャンセリング)搭載:FF(フィードフォワード)方式/FB(フィードバック)方式を併用
- 風切り音防止設計:通話中、左右併せて合計6つのマイクとノイズキャンセリング技術で風切り音の干渉をカット
- DSP+ENCデュアルマイク搭載でクリアな通話
- 10mmダイナミックドライバー搭載。(グラフェンコート仕様)
- ゲームや動画視聴に最適なゲーミングモード搭載
- IPX5防水規格対応
- 自動ペアリング 左右独立接続
- タッチ式センサー
- 細菌の繁殖を抑える抗菌仕様(イヤホン・充電ケース・イヤーキャップ)
- AAC/SBCコーデック対応
- 最大連続再生 約8時間(ANC ON時 約6時間)
- カラーバリエーション4種類(ブラック/ホワイト/レッド/ネイビー)
HT05のパッケージに書かれている言葉は「静寂が創る、自分だけの空間」。プレスリリースなどを読むと「ワンランク上のノイズキャンセリング機能」「ゲオイヤホンシリーズ史上最高のノイズキャンセリング機能を実現」となっていて、アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能の進化を強調しています。アクティブノイズキャンセリングはFF(フィードフォワード)+FB(フィードバック)方式を併用したハイブリッドノイズキャンセリングとなっていて、業界トップクラスの約-42㏈の消音が可能とのことです。このFF+FB併用方式は、高価なANC搭載イヤホンでよく採用されている方式なので、期待が持てます。
機能面ではほぼ全部入りといっていいもので、ANC、防水、ゲーミングモード、左右独立接続、AAC対応と、ひととおりの機能がそろっています。価格帯的に上位機種となる「T39」に搭載されているワイヤレス充電がないくらいです。
今回の「HT05」は、パッケージに紙が1枚追加されていて、OEM元のQCY社が出しているアプリが使えることを公式に認めています。アプリでイコライザーなど一通りの操作をすることができる旨書かれています。
防水はIPX5相当なので、流れる水にあたっても大丈夫というレベルです。ランニングなどの運動時の汗はもちろんのこと、規格上はシャワーを浴びても一応大丈夫ということになるので、普段使いには十分といっていいでしょう。
HT03と機能面を比べると、ANCの進化、再生時間+1時間、抗菌仕様になったといったところ、T39と比較すると、前述のとおりワイヤレス充電機能がない、HT05はアプリが使えるといった点が違いかと思います。
内容物は本体、充電ケース、USB-TYPE Cケーブル、イヤーキャップ(S/M(本体装着)/L)、取扱説明書兼保証書(保証期間1年)・アプリ説明用紙です。取扱説明書はきちんとしていますし、保証期間が1年ついているので安心です。
外観
充電ケースの外観は丸みを帯びた正方形に近い形で。サイズは55.1×55.0×28.4mmです。型番からしてHT03の後継機だと思うのですが、ケースの設計思想は全然違います。形状やサイズ感は「QT13」とかなり似ています。角が丸みを帯びているので、T39のケースよりは若干マシではあるものの、開けるときに底面側を親指でおさえると、逃げていくような感覚があり、ケースごと落としそうになってしまうので、やや開けにくいです。ゲオのANC搭載イヤホンの中ではHT03がぴか一開けやすいです。
QT13と同じなのですが、ちょっと珍しいのは充電端子(USB TYPE-C)が右面についていることかと思います。ふつうは背面側(ふたの付け根部分)についていることが多いです。実用上は全く問題ありません。表面仕上げは艶消し加工がされていて、光沢ではないので指紋は目立ちにくいです。
収納はHT03のような差し込み式ではなく、T39と同じような横置き式?です。
本体の形状はT39に似ていますが、白1色の構成です。
ステムの先端部分など、いろんなところにマイクがついているように見えます。
ハウジング出口の部分は楕円形をしています。最近の完全ワイヤレスイヤホンは楕円形のことが多いですね。先ほどの写真にもありましたが、ステムの先端部分はこちら側にもマイクがついています。
使用は片耳のみでも可能で、その際はANCと外音取込みは使うことができない仕様です。片耳がオープンなので、ANCは無駄なので当たり前といえば当たり前ですね。
音質
音質など
本機HT05はアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能がついていて、ANCをONにした時とOFFにしたとき音に差があります。HT05の場合、ANCをOFFにしたときはわりとフラット傾向の音質ですが、ANCをONにすると低音域をやや持ち上げるような処理が行われ、低音が少し強くなります。また、ANCをONにした際はホワイトノイズが少し乗ってきますが、T39よりは全然少ないです。
全体感としてはややドンシャリ傾向の音ですが、近頃のイヤホンのなかでは低音域は弱めな感じです。とはいっても出ているほうなので、ふつうに聞く分には十分満足いくと思います。低音域はHT03やT39のほうが出ていますが、足りないということはないと思います。中音域はバランスよく出ている感じがします。低~中音域の解像感・ヌケ感は価格帯にしては良いほうだと思います。高音域もHT03に比べるとしっかり出ているので、全体としてこもっている感じはなく、普段聞くには十分なレベルです。ただ、高音域についてはスカッと抜ける感じではなくて、もうちょっと伸びてくれると完璧だったのに、という感じで、解像感が他の音域に比べると一歩下がる印象です。
ANCをOFFにしたときは低音域のレベルが下がって、やや低音域が足りない印象を受けるサウンドになります。
ANCの項で比較しているEarFunのFree Pro2と音質を比べると、Free Pro2は低音域・高音域がしっかりしていて、中音域はだいぶ引っ込んだ印象です。高音域のきらびやかさや伸び、解像感に関しては明らかにFree Pro2のほうが良いですが、一方で、中音域はかなり抑えている印象です。バランスが良いほうがいいなら本機「HT05」が良いです。若干中音域がつまった感じがあるものの高音域のヌケ感を求めるなら「Free Pro2」といったところだと思います。
アクティブノイズキャンセリング
アクティブノイズキャンセリングに関しては、ゲオのイヤホンの中では最高レベルで、価格的に上位機種であるT39と比べても優れているといっていいと思います。
価格が価格なので、AirPods Pro2などのハイレベルなANCと比べると相当マイルドな効き具合ではあるものの、低音域を中心にそこそこ軽減してくれる印象です。最上位機種のT13と比較した場合、T13は低音域の一部が軽減しきれない部分があるのですが、本製品(HT05)に関してはその部分も含めて軽減される印象です。
1万円以下のイヤホンの中ではアクティブノイズキャンセリングの効き具合が優れいると思っている、EarFunの「Free Pro2」と電車の中で何度も付け替えて比較してみました。結果としては、ANCの効き方がそれぞれ違うのでその時々の外の音の種類によって差が出ますが、ほぼ互角に感じました。FreePro2は大きめの低音域が来た場合(レールの分岐ポイントなど)でHT05より僅差で効き具合が良く、HT05は逆にトンネルの中などで安定的に走っているときに「Free Pro2」より僅差で効き具合が良い気がしました。が、いずれも本当に僅差なので、気にするほどではない気がしています。
パススルーモードもゲオのANC対応3機種の中では一番自然な感じで、進化を感じます。音楽を一旦停止すれば、普通に会話することができるかと思います。
なお、ANCモードはケースに戻してもリセットされず、前の状態が維持されます。戻ってしまう機種も結構あるので、ケースから出した状態で自動的にONになっているのはやはり便利です。
遅延・音量・マイクの音質など
Youtube を視聴する限り、普通のモードでも遅延は気になるレベルではなく、違和感なく視聴することができます。本機HT05には遅延がより少ないゲーミングモードも搭載されていて、左側イヤホンを長押しするとON/OFFすることができます。ただ、ゲーミングモードは極端に電波の強度が下がるので、不用意に使わないほうが良いかなという気がします。
iPhoneで使う場合、安いイヤホンだと最低音量が結構大きいのですが、本機HT05はちゃんと小さい音にすることができます。大きい音量が苦手な方でも十分対応できると思います。
マイクはDSP(Digital Signal Processor)+ENC(Environment Noise Cancellation)デュアルマイク搭載、左右6つのマイクで風切り音防止と、スペック上の性能はチカラ入っています。実際Zoomで使ってみたところ、かなりクリアに音を拾ってくれますし、多少のノイズは軽減してくれるようで、優秀なほうだと思います。Web会議や電話などには全く問題なく使用することができると思います。
アプリ
本機(HT05)は、「アプリ利用に関しまして」という紙が同梱されていて、「QCYアプリ」に対応している旨が記されています。iPhoneでQCYアプリをダウンロードして試してみたところ、何度やっても検出できず。Androidでも同じようにやってみましたが、結局使うことができませんでした。ここについては今回検証できなかったので、しばらくしたらまた試してみたいと思います。
(2022.12.01)iPhone/Androidともアプリのアップデートがあり、ようやくきちんと検出されるようになりました。まだまだ煮詰まっていない粗削りな部分が多いですが、アプリ機能としては標準的といってよいと思います。主な機能はイコライザーで音を変化させたり、ノイズキャンセリングの効き具合を変更できたりといったものです。Ver.4.0.4では翻訳がいまいちで、よくわからないところがあったり、ANCモードはこれが一体何なのかわからない状態(ANC4がANC OFFだったり・・・)とった状況です。このあたりはSOUNDPEATS Mini Pro HSのほうができが良いです。
総評
ゲオのアクティブノイズキャンセリングイヤホンの中ではちょうど真ん中の価格帯(4980円)で、最後発の本機「GRFD-TWS HT05」は、最後発にふさわしい進化を遂げています。HT03で不満だった音質面は大幅に改善されていますし、T39よりもノイズキャンセリング性能は優れていて、ホワイトノイズも少ないです。
結果として、ゲオでアクティブノイズキャンセリングイヤホンを買うなら、本機「GRFD-TWS HT05」が一番オススメの機種になります。音質的に、高音域のヌケ感はT39のほうが良いですが、それも「どちらかといえば」のレベル、かつT39はANC利用時に結構ホワイトノイズがのるので、音質面、ANC、マイク性能、大きさ等ほぼすべての面において「HT05」のほうが良いと思います。
ANC性能は一回AirPods Pro2を使ってしまうとかなり効きが弱く感じてしまいますが、この価格帯の機種にしてはかなり効きが良いほうであることは間違いなく、ANCつきの完全ワイヤレスイヤホンを低価格で入手したい、ということであれば、本機はかなり良い選択肢といってよいでしょう。
なお、ANCはあんまりいらないということであれば、半額以下で「GRFD-SWE100QT13」が手に入るので、そちらも検討しても良いかと思います。音質だけであれば「QT13のほうが良い」と思われる方もおられると思うくらい、QT13はコスパが良いイヤホンだと思います。
ゲオオンラインショップ HT05購入リンク: WHITE(白) / BLACK(黒) / RED(赤) / BLUE(青)
Appendix. ボタン操作一覧
再生/一時停止 | LボタンまたはRボタン×2回 |
音量を上げる | なし |
音量を下げる | なし |
次の曲へ | Rボタン×3回 |
前の曲へ | なし |
アクティブノイズキャンセリング切り替え | Rボタンを1.5秒長押し |
ゲーミングモード(低遅延)ON/OFF | Lボタンを1.5秒長押し |
着信応答 | LボタンまたはRボタン×2回 |
通話オフ | LボタンまたはRボタン×2回 |
着信拒否 | LボタンまたはRボタンを1.5秒長押し |
音声アシスタント | Lボタン×3回で開始 |
Appendix. スペック
重さ | 約38.8g (充電ケース) / 約4.8g (イヤホン本体 片耳) |
防水規格 | IPX5 |
再生可能時間 | ANC OFF:最大8時間 (イヤホン本体のみ) ANC ON:最大約6時間(イヤホン本体のみ) |
充電時間 | 約2時間 |
充電端子 | USB Type-C |
Bluetooth規格 | Bluetooth 5.2 |
Bluetoothプロファイル | A2DP, AVRCP, HFP |
対応コーデック | SBC / AAC |
パッケージ内容 | 本体、充電ケース、 イヤーチップ (S / M / L) 、 USB-C & USB-A ケーブル、 取扱説明書兼保証書 |
製品型番 | GRFD-TWS HT05 |
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