Amazonで売れているイヤホンメーカーで、非常にクオリティが高く、コストパフォーマンスに優れたイヤホンを販売しているメーカーとして、「SOUNDPEATS」と「EarFun」があります。
SOUNDPEATSはワイヤレスイヤホンが普及し始めた頃から多数の製品を販売しているメーカーです。EarFunは、完全ワイヤレスイヤホンが普及期に入り始めた頃に、ノイズキャンセリング付きの高性能イヤホンを引っ提げて彗星のように現れたメーカーと記憶しています。
この2メーカー、しばしば似たような製品名で商品を出してくることがあり、今回比較する「Air Pro 4」と「Air4 Pro」もまさにその1つです。
単なる表記間違いと思いきや、メーカーが違う製品になっているこの機種、一体どんな違いがあって、どっちが良いのか、実際に入手して比較してみました。
この記事では、EarFunの「Air Pro 4」と、SOUNDPEATSの「Air4 Pro」の両方を実際に購入、使ってみた感想、スペックの違い等をレビューしています。
スペックの比較をしてみる
Earfun Air Pro 4とSOUNDPEATS Air4 Proを比較したのが下表です。
比べてみると、まず搭載しているSoC(心臓部のチップ)のメーカーはどちらもスマートフォンの心臓部で採用されていることが多いQualcomm社製ですが、Earfun Air Pro4は「QCC3091」、SOUNDPEATS Air4 Proが「QCC3071」です。
型番からも想像できますが、Earfunのほうが新しいSoCを搭載していて、その分性能が高いことがわかります。Earfunは高音質コーデックの1つ「LDAC」を搭載しているほか、Bluetoothのバージョンが5.4、ノイズキャンセリングの数値も上です。
さらに、再生時間や急速充電への対応、防水性能、Google Fast Pair(Androidスマホでの初期設定が簡単にできる機能)といった使い勝手に直結するような点でもEarfunのほうが上回っています。
一方で、音の出口であるドライバーに関しては、SOUNDPEATSのほうが大きいものを採用していて、音質面では一定程度有利と言えます。
総じて搭載している機能は両機種とも似ていると言えますが、スペック上の差異はEarfun Air Pro4のほうが上といってよいと思います。
EarFun Air Pro 4 | SOUNDPEATS Air4 Pro | |
Bluetooth SoC | Qualcomm QCC3091 | Qualcomm QCC3071 |
イヤホンタイプ | カナル型、スティック型 | カナル型、スティック型 |
コーデック | aptx Lossless、aptx Adaptive、LDAC、AAC、SBC | aptx Lossless、aptx Adaptive、AAC、SBC |
Bluetooth Ver. | 5.4 | 5.3 |
再生時間(ANC OFF) | 本体:11時間 ケース込み:52時間 | 本体:6.5時間 ケース込み:26時間 |
急速充電対応 | 10分充電で2時間再生 | – |
充電端子 | USB Type-C | USB Type-C |
ドライバー | 10mmダイナミック | 13mmダイナミック |
防水性能 | IPX5 | IPX4 |
ノイズキャンセリング | アダプティブノイズキャンセリング 最大-50dB | アダプティブノイズキャンセリング 最大-45dB |
外音取込モード | あり | あり |
低遅延モード | あり | あり |
マイク性能 | 左右各3基の高性能マイク AI搭載、cVc 8.0 | 左右各3基の高性能マイク AI搭載、aptX Voice |
着脱検知機能 | あり | あり |
空間オーディオ | × | × |
マルチポイント接続 | あり | あり |
Google Fast Pair | あり | × |
アプリ対応 | EarFun | PeatsAudio |
本体、充電ケースの外見比較
本体
本体は形状こそだいぶ異なりますが、大きさはどちらも似ていて、比較的大きいほうだと思います。装着感もさほど変わりません。
写真左がEarfun Air Pro4、右がSOUNDPEATS Air4 Proです。

充電ケース
充電ケースの形状はかなり違い、Earfun Air Pro4はパカっとふたを開けるタイプ、SOUNDPEATS Air4 ProはAirpods系のふたが折れるタイプです。

Earfunは開いた時に内側のLEDが光る工夫がなされています。取り出しや収納はEarfunのほうが使い勝手が良いです。SOUNDPEATSはスティック部分が真ん中に収納されるタイプなので、取り出して耳に装着するとき、耳から外して収納するとき、いずれも本体を半回転させて持ち替える必要があるので、ひと手間かかります。

音質を比べてみる
Earfun Air Pro 4とSOUNDPEATS Air4 Proの音質を比べてみると、どちらもクオリティは高いのですが、音のつくり方には違いがあるようです。
Earfun Air Pro 4はこれまでの同社のイヤホンと同じく、ドンシャリ傾向(低音域と高音域が強調されている迫力のある音)で、迫力重視で中音域を抑え気味にしたクールなサウンドと言えます。
SOUNDPEATS Air4 Proは、SOUNDPEATSの中では高音域もしっかりと出ていて、バランスの良い素直な出音のように感じます。また、SOUNDPEATSのイヤホンは、他の会社のイヤホンより音の出方がまっすぐというか、すっと出てくるのもGOODです。
2つのイヤホンを比べてみると、SOUNDPEATS Air4 ProはEarfun Air Pro4から低音域を少し下げて中音域を足したような、温かみのあるサウンドに感じます。Earfun Air Pro4はSOUNDPEATSと比べると迫力があるサウンドだと思います。
どちらが良いのかというのは完全に好みのような気がします。迫力があるサウンドが良いのであればEarfun Air Pro4を、バランスが良い音が良いのであればSOUNDPEATS Air4 Proが良いと思います。
どちらの機種もアプリのイコライザーで好みの音質に調整することができるので、どちらの機種でも不満を感じることは少ないのではないかと思います。
なお、3万円クラスの上位機種と比べてみると、EarfunもSOUNDPEATSも少し解像感が落ちるような印象はありますが、値段の差を考えれば十分優れていると言えます。
また、当サイトで5000円以下のANC搭載機でオススメしている「Edifier X5 Pro」や「Redmi Buds 6 Lite」と比べると、さすがに音の解像度やデフォルト時の音質はEarfun/SOUNDPEATSのほうが上でした。(X5 Proは軽く聞くと意外といいのですが、細かい点で劣ります)
個人的には、両方とも高音域のヌケが多少物足りないので、Earfun Air Pro4はアプリのイコライザーで「高音ブースト2」を、SOUNDPEATS Air4 Proはそのままかアプリで「高音域の強調」を選択すると、好みな感じになりました。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)の比較
Earfun Air Pro4とSOUNDPEATS Air4 Pro、両機ともアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載していますが、動作は大きく異なります。
Earfun Air Pro4は周囲の音がどうであれずっとANCが一定の具合で効いているのに対し、SOUNDPEATS Air4 Proは「アダプティブノイズキャンセリング」と謳われており、周囲の音に合わせてANCの効き具合が変わります。
使ってみるとこれは案外大きく差が出てしまいました。SOUNDPEATSのほうはANCを効かせてほしいところで急にノイズキャンセリングが弱くなったりしてしまいます。一方のEarfunはずっと一定の強度で効いてくれます。
きちんとANCが効いているときはどちらの機種も低音域を中心に結構ANCが効いてくれますが、SOUNDPEATSは前述のようにふとしたタイミングで弱くなってしまうときがあるので、使い勝手としてはEarfun Air Pro4のほうが良いと思います。
ANCの効き具合に関しては低音域を中心にカットしてくれるタイプで、電車のゴォーという音などは比較的軽減されますが、人の声等は効果を実感するほどでもない印象です。ANC ONの効果は実感できますが、Airpods Pro2などの優れたノイズキャンセリング性能とまではいかないようです。
まとめ:買うならどっち?
Earfun Air Pro4、SOUNDPEATS Air4 Proの何れもAmazonでの販売価格は8000円前後で、両方とも価格差はせいぜい数百円といったところです。
本記事で比較してきた内容や使い勝手を踏まえると、どちらがお買い得かと問われれば、「Earfun Air Pro4」のほうがお買い得なのではないかと思います。
音質面ではSOUNDPEASも捨てがたい面はありますが、アクティブノイズキャンセリングの効き具合がEarfunのほうが明らかに良く、細かい使い勝手の面や性能面でもEarfunが上回っています。
どちらを買っても大きく不満を感じることはないとは思いますが、この2機種で比較した場合は、当サイトとしては「Earfun Air Pro4」のほうが良いのではないかという結論に至りました。
購入の際のご参考になれば幸いです。
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