今回レビューするSOUNDPEATS社の「T2」イヤホンは、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載しているにもかかわらずAmazonで5000円台、セールやクーポンなどを使えば4000円台で購入できるコストパフォーマンスに優れたイヤホンです。
SOUNDPEATS社はBluetoothイヤホン黎明期からAmazonでイヤホンを売っているメーカーで、中華メーカーの中では信頼感がある立ち位置のメーカーです。
直近、当サイトでレビューした高音質コーデックLDACに対応した「Mini Pro HS」も同社の製品で、「Mini Pro HS」は同社製品の中でもお高いほうの製品でした。
今回レビューする「T2」は、SOUNDPEATSのアクティブノイズキャンセリング機能(ANC)搭載機の中では最も安いグレードの製品です。また、比較的まともなメーカーでANCを搭載したイヤホンの中でも安い部類に入ります。一体どの程度の品物なのか、確認していきたいと思います。
概要・特徴
SOUNDPEATSの完全ワイヤレスイヤホン「T2」は以下のような特徴を持っています。
- 最大-35dBのアクティブノイズキャンセリング(ANC)搭載
- 外音取込モード搭載
- 10時間連続再生可能(充電ケース併用で最大30時間)
- ENCノイズリダクション採用、クリアな通話を実現
- 12mmダイナミックドライバー搭載、異なる周波数が混ざった音を繊細に再現
- IPX5の防水性能
SOUNDPEATS T2の最大のウリはもちろんアクティブノイズキャンセリング機能です。サイトによってスペック記載に違いがありますが、大多数は「最大-35dB」を謳っています。聞き具合については後述したいと思います。

連続10時間再生はかなり長めですが、その代償としてやや本体が厚いです。防水機能もしっかり備えており、ハードウェアのスペックとしては標準的~優れいているほうだと思います。あとはアプリに対応していれば文句ないのですが、残念ながらアプリには対応していません。充電ケースの端子はもちろんUSB TYPE-Cです。この辺はぬかりありません。
パッケージ内容
内容物は本体のほか、充電ケース、イヤーピース(S/M/L、Mは本体に装着済)、充電ケーブル(USB TYPE-C)、説明書です。保証期間は12か月あるようです。

説明書を読むと、片耳のみで使うことができるようになっていますし、本体のタッチセンサーでボリュームの上下もできるようになっています。
外観
充電ケース
充電ケースの大きさは64.8×28.7×41.7mmです。自立するようになっているのは大変良いと思います。

ふたを開けるときに若干ながらスムーズさが欠けている点で高級感はありませんが、ふたは開けやすく、最大まで開けた時にしっかり固定されるようになっていて気が利いていると思います。
ケースから本体を取り出そうとすると、本体がやや山型になっていることもあり滑りやすく、取り出しにくさがあります。

前面にはLEDが3つついています。ケースの充電状態は白色LEDで表示され、本体の充電状況が左と右のLEDで青でわかるようになっていて、これも良く工夫されています。

裏面にはUSB TYPE-Cの充電端子があります。

本体
本体の形状はステムのない形状をしています。SOUNDPEATSのロゴ部分がタッチセンサーになっています。

耳にはめ込む面には充電端子、L/R表記があります。LR表記はわかりやすいです。

横から見るとわかりますが、厚みが結構あり、大きく感じます。充電端子に近いところの厚みは実測ベースで15.6mmあります。縦横の長いほうが実測21mm、短いほうが実測17mmです。スペック上の重さは約5gです。

音質など
音質レビュー
音質はアクティブノイズキャンセリング機能(ANC)がOFFの場合とONの場合でやや異なり、ONの場合は低音域が強くなります。今回はANCをOFFにして、付属のイヤーピースをつけた状態でレビューします。
全体的には低音側が強めのいわゆるドンシャリ傾向の音作りです。どう表現してよいのかわかりませんが、音の出方がとてもスムーズで、スーッと引っかかりなく気持ちよく出てくる印象があります。ボーカルが他の領域に埋もれることなくしっかり聞こえてきます。音の位置も比較的良く聞き分けられますが、奥行き感とか広さのようなものはやや狭めな感覚があります。
低音域はドンと圧が伝わってくる傾向のサウンドです。音の位置もしっかり伝わってきますし、ディスコファンクのようなベースがブイブイ、バスドラムがドンドン鳴っているような音はとても気持ち良く豊かに聞こえてきます。ウッドベースなども結構いい感じに聞かせてくれます。低音が強すぎるイヤホンの場合、他の音域をつぶしてしまったりしますが、本機はそういった感覚はなく、他の領域もきちんと聞こえます。中音域もしっかり鳴っていて、男性・女性ボーカルなどを埋もれることなく明瞭に聞くことができます。
他の領域に比べ不満が残るのが高音域です。「Mini Pro HS」の時もそうだったのですが、高音域もある程度のところまではスムーズにいい感じで鳴っているのですが、それが「もうちょっと」というところで終わってしまう、伸びきれていない印象を受けます。この影響のせいか、ピアノやボーカルにツヤ感がちょっと欠けたり、ドラムでもタムの張り感とか、シンバルの緊張感みたいなものがやや雑になる印象があり、透き通った音に聞こえてきません。よく聞くと結構解像感があるのですが、全体感では解像感が若干落ちる印象で、スムーズに音が出ているのに若干ベールがかかった印象を受けることがあります。
高音域はそれなりに出ているのですが最後の音域まで伸びない印象を受けるので、高音域の伸びを重視する方にはオススメできません。
なお、iPhoneで音を最小にした場合の音量は小さめで、大きい音が苦手な方でも大丈夫かと思います。
アクティブノイズキャンセリングの効き具合
SOUNDPEATS T2のアクティブノイズキャンセリングの性能は、5000円台のイヤホンとしては結構強力なほうだと思います。低音域を中心に低減するもので、それなりに効果を感じます。例えばキーボードをたたく音だと結構軽くなるような感覚です。そのかわり、ANC ONにするとサーっというホワイトノイズが発生してしまいます。エアコンの音などで試すと、エアコンの音はそこそこ消えますが、かわりにホワイトノイズが加わるので、静かな環境だと低減されてるのかされてないのか判断に迷うこともあります。
1週間ほど外で使ってみましたが、人込みの中だと周囲の音が一段階軽くなる印象で、ノイズキャンセリングがある程度効いているいることが実感できます。電車の中、地上を走っている場合もそこそこ効いている印象で、音楽は比較的聞きやすいです。地下鉄の場合は残念ながらあまり効きが良いとは言えず、ノイズキャンセリングON/OFFでそんなに変わらない印象でした。低音域を中心にカットするので、そのほかがうるさいと効き目に乏しく感じる、低音域も一線を超えるとカットしきれない、そんな印象でした。
外音取込モードの出来はそこそこです。自然で実用的なレベルといってよいのではないかと思います。
なお、本機はANCモードにした後で一旦充電ケースに戻すと、次聞くときはまた「ノーマル」に戻ってしまいます。なので、ANCを使う際は毎回左のイヤホンを長押しする必要があります。
マイクの性能
Zoomを使って試してみたところ、若干シャカシャカしている面はありますが、きちんとクリアに音を拾ってくれました。周囲の雑音はそこそこ拾いますので、ENC機能に期待はしないほうが良いでしょう。総じてWeb会議や通話には支障なく利用することができると思います。
遅延度合い
動画視聴の際の遅延はほぼ感じられず優秀だと思います。
総評

「SOUNDPEATS T2」は、5000円前後でアクティブノイズキャンセリング機能がまともに働き、一定の音質クオリティがある、安価でバランスの取れた機種と言えると思います。
本体がちょっと大きかったり、高音域がやや伸び悩んだりといった面はありますが、ANC搭載機の中では安心感を持って購入することができる機種の1つです。
同じ価格帯で実店舗を持つゲオが出している「GRFD-TWS HT05」(AmazonではOEM元のQCYが「HT05」として販売)と良い勝負といったところです。
低音域が強いほうが好きな方は「SOUNDPEATS T2」を、低音域から高音域まですっきりバランスよく聞きたいのであれば「GRFD-TWS HT05」「QCY HT05」を選ぶと良いと思います。もし、他に5,000円前後でANC搭載の良い機種をご存じであれば、ぜひコメント欄で教えてください。
Appendix. ボタン操作一覧
再生/一時停止 | LボタンまたはRボタン×2回 |
音量を上げる | Rボタン×1回 |
音量を下げる | Lボタン×1回 |
次の曲へ | Rボタンを1.5秒長押し |
前の曲へ | Rボタン×3回 |
着信応答 | LボタンまたはRボタン×2回 |
通話オフ | LボタンまたはRボタン×2回 |
着信拒否 | LボタンまたはRボタンを1.5秒長押し |
ノイズキャンセリングモード切替 | Lボタンを2秒長押し |
電源OFF | LボタンまたはRボタンを10秒長押し |
電源ON | LボタンまたはRボタンを1.5秒長押し |
ペアリングモードへ切り替え | LボタンまたはRボタンを6秒長押し |
Appendix. スペック
重さ | 約45g (充電ケース+本体両側) / 約5g (イヤホン本体 片耳) |
防水規格 | IPX5 |
再生可能時間 | 最大7時間 (ANC ON) / 最大10時間(ANC OFF) |
充電時間 | 約2時間 (イヤホン) / 約2時間 (充電ケース) |
充電端子 | USB TYPE-C |
Bluetooth規格 | Bluetooth 5.1 |
Bluetoothプロファイル | A2DP, AVRCP, HFP |
対応コーデック | SBC / AAC |
Chipset | Airoha AB1562A |
パッケージ内容 | 本体、充電ケース、 イヤーチップ (S / M / L) 、 USB-TYPE C ケーブル、 取扱説明書 |
コメント