中国Edifier社から登場した「Edifier X5 Pro」を購入しました。お値段は4700円。Edifier社の製品は、2000年代前半からスピーカーなどでちらほら見かけており、個人的な印象としてはハズレが少なく、まともなオーディオメーカーに近いイメージを持っています。
2023年後半に入ってから、4000~5000円台で購入できるアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載した製品は減っている印象で、この価格帯だとQCY社一択になりつつありました。
通常売価が大体5000円台後半、セールだと4000円台後半という価格で発売された「Edifier X5 Pro」、格安ANC搭載機のオススメ品になりえるのか、確認していきたいと思います。
「Edifier X5 Pro」の特徴・機能概要
- ANCノイズキャンセリング&外音取り込み
- 通話ノイズキャンセリングで、クリアな通話に
- 長時間バッテリー&急速充電
- チタンコート振動板を搭載した10mmの大型ダイナミックドライバー
- 0.08秒の超低遅延ゲームモード
- IP55の防塵・防水性能
- カスタマイズ可能な音楽体験「Edifier ConneXアプリ」
本機「Edifier X5 Pro」は、購入しやすい価格ながら、アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能、および外音取込モードを搭載しています。周囲の騒音を低減することができるほか、外音取込モードはコンビニのレジなど、会話が必要な時に重宝します。
本機の連続再生時間は約7時間、充電ケース込みで約31時間バッテリーが持ちます。ANCを使うと再生時間は5時間になりますが、最近のイヤホンとしては標準的な再生時間で、短くて困るということはないと思います。
また、15分充電すると1時間使用可能となる急速充電機能も搭載しているので、イザというときも便利に使うことができると思います。
音質向上の取り組みとしては、チタンコート振動板を搭載した10mmの大型ダイナミックドライバーを採用しています。対応コーデックは価格を抑えるためか、AAC、SBCのみです。
防水性能はIP55で、しっかりとした防塵、仮にチリが本体内に入っても機能に支障はなく、いかなる方向からノズルで水を噴射しても内部に水が浸入しない、というレベルなので、ジョギング等に使っても全く問題ないレベルです。
低遅延モード搭載、アプリ対応も謳っており、一通りの機能はそろっていると言えるでしょう。マルチポイント接続できるか試してみましたが、残念ながら非対応でした。
ちなみに、本機に使われているSoCは、中国Bestechnic(恒玄科技)社の「BES2600IHC3」だと思われます。このSoCは、デュアルコアの「ARM STAR-MC1」プロセッサとのこと。Bluetooth5.3に対応し、ハイブリッドノイズキャンセリング機能、通話時AIノイズキャンセリング機能等を搭載しています。
パッケージ内容
パッケージの内容は、本体、充電ケース、イヤーピース(S/M/L、Mは本体に装着済)、充電ケーブル(USB Type-C)、マニュアル類です。
マニュアルはアイコンを多用した多言語対応版で、日本語も対応しています。しかし、文字数が極端に少なく、絵を見て直感的に理解することが求められ、ややわかりにくいかな、という印象です。
外観
充電ケース
充電ケースは丸っこくて小ぶりです。幅5.9cm、奥行4.9cm、高さ2.7cmで、本体込みの重量は37.3gです。軽くて小さく、手になじむ形をしているので、持った感じは良好です。
上部にEdifierのロゴがあしらわれています。表面は艶消し加工されており、指紋が目立つことはなさそうです。周囲はつやがあって、デザイン的にやや凝っています。こういった工夫のおかげか、プラスチック製ですが、安っぽさは感じません。
本体下部には充電端子(USB Type-C)と、ペアリングやリセットの際に使うボタンが配置されています。
ふたの開閉はスムーズで、パチンと小気味よく閉まるので気持ちがいいです。
収納は、本体のスティック部分を向かい合わせに収納する形です。この形だと、収納や装着時に本体の向きを変える必要があるので、微妙に使い勝手が良くないです。
本体
本体はスティックがついた形状、いわゆるうどん型です。幅3.3cm、奥行き2.1cm、高さ2.4cm、実測での重量は4.24gです。
スティック外側上部はタッチセンサーで、その下に「EDIFIER」ロゴがあります。ツヤ加工なので指紋や汚れがやや目立ちます。
スティック上部は黒ではなくややブルーが入った感じに加工されていて、ワンポイントがかっこいいです。
装着感
装着感は良好です。大きすぎるといったことはないので、普通に耳穴にねじ込めばしっかりホールド感が得られ、そこそこ激しい動きをしても外れる感じはしません。
音質・使い勝手
音質レビュー
やはりEdifierだけあって、本機「Edifier X5 Pro」の音質は良好です。この価格帯でこの音質であれば、十分満足できる音質ではないでしょうか。
音のバランスが良く、クリアに聞かせてくれます。解像感はそこそこ、音の広がり感はやや乏しいか、といったところです。これらの違いは数万円する機種と比べてみるとわかるくらいの違いなので、この価格帯としては十分合格点なのではないかと思います。
低音域~高音域までしっかりと出ます。低音域と高音域が強めのいわゆるドンシャリ系のサウンドではありますが、各音域で不自然にいじられている印象はなく、自然な感じで音域間のバランスがとれていて、聞きやすい音質に仕上がっていると思います。
低音域はやや強め、元気よく鳴らします。勢いがある音のほうが得意なようで、バスドラムがドンドン言ったり、ファンクでベースラインがグイグイくるような音はとても良い感じで鳴ってくれます。一方、ウッドベース等で温かみのあるような音に関しては、若干ドライに鳴る傾向がありそうです。
本機は中音域、高音域のバランスが特に優れていて、各音がうまく協調して鳴っていて、クリアな感じに仕上がっている印象です。特に中音域はとても自然で良い感じです。
高音域も派手すぎることなく、かといって足りなすぎることもなくいい具合の鳴り方をしています。
本機は、どんな音楽でも、ひととおり違和感なく聴くことができる仕上がりだと思います。
べた褒めに近い感じでお伝えしていますが、数万円の高級機種と比べてしまうと、細かい音の表現や広がり感、量感など、表現面での差は当然ながらありますので、期待しすぎは禁物です。(Momentum True Wireless 3と比べてみましたが、さすがに音質差はそれなりにありました・・・)
アクティブノイズキャンセリングの効果
本機「Edifier X5 Pro」のANC性能は、「そこそこ効果が実感できるレベル」、5点満点でいえば3といったところです。
EarfunやSOUNDPEATSといった最近元気がある中国メーカー製の、実売7000円程度の機種よりは若干劣りますが、効いている感じはそれなりにする、という感じです。7000円前後の価格帯では、「Earfun Air Pro 3」あたりが5点満点で3.5くらいの効き具合で、音も良いのでオススメです。
本機「Edifier X5 Pro」のANCを実際に使ってみたところ、電車の中で使った場合、ANC OFFとONでは明確に差が感じられます。雑音は低音域を中心にカットされており、効果が実感できるレベルで低減できています。音楽を聞いていると、一段階聞こえが良くなる感じです。室内で使う場合も、エアコンの音などはだいぶ弱まります。
ANC ONの場合、風が強い場面ではやや風切り音が大きめです。風が強い場合はANC OFFのほうがよいかもしれません。
この価格帯のANC付きイヤホンに関しては、ANCの性能を過度に期待して購入するべきではないと思いますが、本機はANCってこういう感じなんだなぁという効果は実感できるのではないかと思います。
遅延/ボリュームコントロール
動画視聴時の遅延
本機には遅延を80msまでに抑えるゲーミングモードを搭載していますが、通常モードでの遅延状態をYoutube視聴で確認してみました。ニュース、楽器演奏、お笑い動画などを見てみましたが、特段違和感なく視聴することができました。
Androidのアプリで行った、通常モードでの遅延計測値はおよそ385ms前後、なぜかゲーミングモードにしても数値はほとんど変わらなかったので、あくまでも参考値ととらえてください。
ボリュームコントロール
本機のボリュームコントロールはとても優秀です。iPhoneでの最低音量はとても小さいですし、ボリュームの上がり方は緩やかなので、大きい音が苦手で、小さい音で音楽を流しておきたい、という方にはかなりオススメです。
マイク性能
本機のマイクは、「AI通話ノイズキャンセリング」機能を搭載していて、不要なノイズを低減し、人の声の明瞭さと忠実度を高めるとされています。
実際にWeb会議を使ってマイク性能を試してみたところ、声はしっかり明瞭に拾いますし、たまたま咳をしてしまったのですが、咳もカットしてくれました。かなり実用的で優秀なマイクだと思います。
「Edifier ConneX」アプリ
本機は「Edifier ConneX」アプリに対応しています。Edifierのアプリは似たような名前の「Edifier Connect」アプリもあるので注意が必要です。自分は最初間違えてしまい、対応していないと嘘をつくところでした。
アプリの機能は、ANC/外音取込のON・OFF、イコライザー、ゲームモードON・OFF、操作のカスタマイズ、アナウンス音の大きさ設定、マニュアル等々です。
他の会社のアプリと比べると、イコライザーがプリセットされたものしか選べず、自分でカスタマイズできないのはイマイチです。それ以外は一般的な機能が搭載されているような印象です。
Edifier ConneX
BEIJING EDIFIER TECHNOLOGY CO.,LTD.無料posted withアプリーチ
まとめ
Edifier社が2024年3月に発売した「Edifier X5 Pro」は、実売5,000円台という価格の中で、アクティブノイズキャンセリングや防水、アプリに対応した、高コストパフォーマンス機です。
本機は音質面でソツのない音づくりがなされていて、低音域から高音域まで、不自然さがない音づくりが行われていると思います。もちろん細かい点は高級機に劣りますが、この価格でこの音が出ていれば、不満を持つ方はあまりいないのではないかと思います。
効き具合はややマイルドですが、効果が実感できるレベルのアクティブノイズキャンセリング機能も搭載、低遅延モード、IP55防水、アプリへの対応と、一通りの機能は搭載しています。
競合する製品としては、価格帯でみればQCYの「HT05」「ArcBuds HT07」あたりかと思いますが、これらと比べると音質面で本機のほうが優位、ノイズキャンセリング面でQCY製品が若干優位、というところです。
3月下旬時点では低遅延モードがきちんと働いているかいまいちわからない感じなので、粗削りな部分はありますが、本機をこの価格帯の一押しとしておきたいと思います。
100均のイヤホンでは物足りない、もっといい音、ノイズキャンセリングを低価格で試してみたい、という方にピッタリの製品なのではないかと思います。
Appendix. 操作方法
再生/一時停止 | R(右)ボタン×2回タッチ |
音量を上げる | – |
音量を下げる | – |
次の曲へ | R(右)ボタン×3回タッチ |
前の曲へ | – |
電話にでる/切る | L(左)ボタンまたはR(右)ボタン×2回タッチ |
着信拒否 | – |
音声アシスタント(Siri/Google) | L(左)ボタンまたはR(右)ボタンを2秒長押し |
ノイズキャンセリングモード切替 | L(左)ボタン×2回タッチ |
ゲームモード切替 | L(左)ボタン×3回タッチ |
リセット | ケースに本体を収納して、本体ボタンを3回押す |
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