Amazonで、アクティブノイズキャンセリング付き完全ワイヤレスイヤホンを探していたら、なんとたったの999円(購入時)で売っているモノを見つけました。それが本機「MUINE B10」です。
Amazonの写真を見ると、充電ケースには「POWERADD」と書いてあります。POWERADDは以前、Amazon上でモバイルバッテリーや各種ケーブル、イヤホンなど、モバイルグッズを中心に売っていた中国のメーカー?ブランド?ですが、2021年の初夏ごろにAmazonのサクラレビュー一斉排除に伴って姿を消しました。その後、「MUINE」という名前で細々と商品を売っていますが、商品写真には「POWERADD」が残っています。
今回レビューする「MUINE B10」は、商品名がめちゃくちゃ長く、いわゆる「令和最新版」系の書き方です。スペック面ではめちゃくちゃよさげに見える本品、その実力はどうなんでしょうか。
概要・特徴
「MUINE(POWERADD) B10」の主な特徴は以下のとおりです。
- アクティブノイズキャンセリング(ANC)/トランスペアレンシーモード搭載
- Bluetooth5.1対応、AAC/SBCコーデック対応
- 自動ペアリング
- IPX7防水対応
- 人間工学に基づいたデザイン
- ゲームモード(低遅延モード)搭載
- 音声アシスタント対応
- 再生可能時間最大5時間(イヤホン本体のみ) / 最大25時間(充電ケース使用時)
「MUINE B10」最大の特徴は、アクティブノイズキャンセリング機能、ANCとかノイキャンとか言われる機能がついていることです。Amazonの説明では、32dbとか38dbとか同じページに2通りの説明があって、どっちが正しいか不明です。この価格帯のイヤホンだと、マイクについてるノイズ防止の仕組みをノイズキャンセリングと謳っているケースがありますが、実際操作してみるとちゃんとANC機能が搭載されています。
次の大きな特徴は防水対応かと思います。このイヤホン、防水性能はIPX7となっていて、IPX7とは水面下15cm~1mで、30分間沈んでいても大丈夫、というものです。本当ならかなりの高性能ですが、怖くて試せません。一応継ぎ目は荒いですけどちゃんとふさがっていて、マイクやLED、音が出てくるところしか隙間・穴らしきものはありません。
そしてさらに低遅延モードまで搭載していますので、スペックだけ見るとかなりのモノと言わざるを得ません。
パッケージはとてもしょぼいですが、内容物はしっかりしていて、本体、充電ケース、イヤーパッド(S,M,L×各2、Mは本体に装着済)、充電用USBケーブル(USB Type-C)、取扱説明書になります。ちゃんと替えのイヤーピースがついていたり、充電ケーブルの仕様がUSB Type-Cだったり、説明書もちゃんと日本語対応していたりと、なかなか良好です。

外観
箱から取り出してみると、思ったより充電ケースがでかいです。でかいですが、ケースの開け閉めもスムーズですし、バリがあるわけでもないので、つくりは良好だと思います。見ただけでプラスチックだということはわかりますが、軽いです。ややざらついた加工になっており、指紋が目立つということもないです。充電ケースのコネクタはUSB Type-Cなので、比較的新しめの設計な気がします。
ちなみに、ケース裏側には「Designed in California, Assembled in China」と、どこかのメーカーと同じようなことが書かれています。ホントですかね・・・。


ケースがでかかったのでまさかと思ったのですが、本体もでかいです。ステム(棒の部分、いわゆるうどん部分)がかなり長いのが特徴です。説明書のスペック上では、長さは42mmなので、結構長いことがわかると思います。

平面になっている部分がタッチセンサーボタンになっています。操作した感じは良好で、反応が鈍いということもないですし、過敏すぎるということもないと思います。塗装は充電ケースと同じです。

本体の大きさを2022年7月現在でダイソーに売っている最新の完全ワイヤレスイヤホンと比較してみました。左が本機「MUINE B10」、右がダイソーの新型です。明らかにダイソーのほうが小さいです。なお、本機、消費税考えるとダイソーで買うより安かったです。

ついでにケースも比較。真ん中がB10ですが、それなりに大きいことがわかります。

音質
全体的な印象・解像感等
このスペックでこのお値段、音質が良ければ最高なんですが、残念ながらそんなわけにはいきません。まず、高音域が足りないのでこもり感があります。こもっているといっても、100均のイヤホンのように中音域がぼわついて解像感がない、といった感じではなく、高音域が足りないことを割り引けば、全体感は比較的バランスよく鳴っている印象です。
音の粒感はあまりありませんが、音の広がりは標準的で比較的マトモです。ダイソーの新型完全ワイヤレスイヤホン(No.8988、G273)や同じくダイソーの有線300円イヤホン「EV001」あたりと比べると、広がり感は「MUINE B10」のほうが良好です。
なので、イコライザーで4kHzあたりから上を好みに応じてぐっと持ち上げてあげると、シャリシャリ感は出ますが、結構いい感じの音になります。こうすればとても1000円を切る価格(購入時)とは思えない音で鳴ってくれます。
音域バランス
まず、低音域はかなり鳴っています。バスドラムはドンドンしますが、ベース領域はちゃんと鳴っていますが分離があんまりよくなくてエッジが立っておらず眠い感じです。
中音域はぼんやりすることなく奏でますが、ロック系だとエレキギターにボーカルが埋もれて若干引っ込みがちになる傾向を感じます。情報量が多くなると解像感のなさが響いてくる感じです。
高音域に関しては絶望的に出ていません。そのため、音のエッジ部分がゆるくなってしまい、細かい音が埋もれてしまう傾向にあります。前述のとおり、イコライザーで高音を持ち上げると良い感じの音に変わるので、非常に残念です。半面、聞きやすいといえば聞きやすいのかもしれません。
全般の音質バランスは、3coinsの1500円で売っているカナルタイプのイヤホンに似ています。この「MUINE B10」のほうがそれでも若干高音域が出るので、こもり感が少ないかなぁといった感じです。
ノイズキャンセリングの効き具合
Amazonの説明には32db、38dbと2つの数字があり、正しいのはどっちなのかわかりません。そもそもこのdbでの記載自体がよくわかんなくて、まともなAppleとかSONYなど、まともなメーカーの説明にはdb表示がありません。
実際の具合はどうかというと、確かにアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能が搭載されていることはわかるけど、大したことない、というところです。ANCが効くのは主に低音領域で、うまくたとえられませんが、電車の通過音「がたんごとん」が「かたんことん」と「がたんごとん」の中間くらいの音まで軽減される程度です。そのほかの音域はあまり削減効果は感じず、世の中が若干乾いた音に聞こえる、という感覚です。
トランスペアレンシー(外音取込)モードに関しては、かなり不自然ですが働いています。人の声が若干聞こえがよくなりますが、それ以上にキーボードを打つカチャカチャ音とか、そういう音が強調されるような感覚があります。なので、全く働いていないということはないです。
ANCを使っているときの課題は、風切り音が結構することです。これは格安のANC付きイヤホンあるあるなのですが、このイヤホンも同じ傾向です。外を歩きながら使う際は、ANC OFFのほうが結果的に良い結果になる気がします。
遅延度合い、マイク等
本機には「ゲーミングモード」が搭載されていて、ONにすると遅延が軽減されます。ゲーミングモードOFFの状態でYoutubeを見てみると、若干遅延が感じられます。めちゃくちゃ遅延しているわけではないですが、たまにアレ?って思うことがあるレベルです。ゲーミングモードをONにすると遅延はちゃんと解消されて違和感ないレベルに改善されるので、動画を見るときはゲーミングモードをONにするほうがいいと思います。説明書等には記載がありませんが、一般的にゲーミングモードをONにすると、接続範囲が狭くなる代償があるようですが、よほどのことがない限りわからないと思います。
電波感度は良好で、扉2枚隔てた部屋の端まで行っても途切れることなく聞こえます。少なくともダイソーの完全ワイヤレスイヤホンの1.5倍くらいの距離は問題なく接続できます。本機を外に持ち出して聞いたわけではないので、他の電波から受ける影響まではわかりません。
マイクに関しての品質は良好です。Zoomで試してみたところ、そんなに大きな声を出さずともちゃんと声を拾ってくれていますので、これならば相手にしっかりと声を伝えることができます。
また、iPhoneでのボリュームについても文句なく、一番小さい音はちゃんと小さく、ボリュームを上げるにつれてスムーズに上がっていきますので、大きい音が苦手な方でも大丈夫かと思います。
総評

本機「MUINE/POWERADD B10」は、めちゃくちゃ安いわりにはアクティブノイズキャンセリングや低遅延モード、IPX7防水などを搭載するなど、かなり機能が豊富な機種です。音質的には高音域不足によるこもり感がある点が非常に残念でいまいちですが、イコライザー付きのアプリで聴けばマトモな音になる素性はあります。
Amazonのレビューを見ると、低評価もそれなりにあるので品質にばらつきがあることがうかがえるので、若干バクチ感はありますが、音質を気にしないならそんなに悪くない選択肢かと思います。ただ、結構でかくてつけているとそれなりに目立つので、見た目もある程度割り切る必要がありそうです。
ダイソーや3coinsに売っているワイヤレスイヤホンとの比較感でいえば、音質はダイソーのTWS001、新型ワイヤレス(タッチセンサータイプ、No.8988)のほうが上です。音質だけ取ればダイソーのほうが良いかと思います。音量が大きいのが苦手な人で、安価な完全ワイヤレスが欲しいなら「MUINE/POWERADD B10」もありかと思います。3coinsは最近マカロン型が売っていないので、レビューしたことがある「カナルタイプ」との比較ですが、デザイン以外は音質・価格等も含めて「MUINE/POWERADD B10」のほうがいいかなと思います。
Appendix. ボタン操作一覧
再生/一時停止 | LボタンまたはRボタン×1回 |
音量を上げる | なし |
音量を下げる | なし |
次の曲へ | Rボタン×2回 |
前の曲へ | Lボタン×2回 |
アクティブノイズキャンセリング切り替え | Rボタンを2秒長押し |
ゲーミングモード(低遅延)ON/OFF | Lボタンを2秒長押し |
着信応答 | LボタンまたはRボタン×2回 |
通話オフ | LボタンまたはRボタン×2回 |
着信拒否 | LボタンまたはRボタン 2秒長押し |
音声アシスタント | Lボタン×3回で開始 Rボタン×3回で終了 |
Appendix. スペック
重さ(実測) | 約39.7g (充電ケース) / 約5.2g (イヤホン本体 片耳) |
防水規格 | IPX7 |
再生可能時間 | 最大5時間 (イヤホン本体のみ) |
充電時間 | 約1.5時間 |
充電端子 | USB Type-C |
Bluetooth規格 | Bluetooth 5.1 |
Bluetoothプロファイル | A2DP, AVRCP, HFP |
対応コーデック | SBC / AAC |
パッケージ内容 | 本体、充電ケース、 イヤーチップ (S / M / L) 、 USB-C & USB-A ケーブル、 取扱説明書 |
製品型番 | B10 |
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