QCYといえば、当サイトで低価格なのに高音質ということでかなりオススメしているゲオの「GRFD-SWE100QT13」、そして同じくゲオで販売されているアクティブノイズキャンセリング(ANC)搭載なのにお値段そこそこの「GRFD-TWS HT05」、さらに高音質apt-Xコーデックに対応した「GRFD-TWS DT06」など、ゲオで販売されている高機能なのに高コストパフォーマンスなイヤホンのいくつかの機種を作っているメーカーです。今回、そのQCY様から、最新作の「QCY ArcBuds(HT07)」のサンプル品をご提供いただきましたので、どんなイヤホンに仕上がっているのか、期待に胸を膨らませながらレビューしたいと思います。
なお、Amazonではほぼ常時30%OFFクーポンが配信されていて、概ね4400円弱で購入できます。
概要と特徴
「QCY ArcBuds」(HT07)は、QCY社(正確にはDongguan Hele Electronics Co., Ltdのブランド)の製品の中でも高機能な製品に位置づけられるもので、主な特徴は以下の通りです。
- ほぼフル機能搭載なのに4,000円台で購入できるコストパフォーマンスの高さ
- 最大45dbのアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載
- 低遅延ゲームモードに対応
- 10mmのダイナミックドライバー
- 風ノイズ低減設計&計6基のマイクを搭載したENCノイズキャンセリング
- 本体のみで最大8時間の音楽再生時間(ケース込みでは最大32時間)
- 6階段調節可能の外音取り込みモードも対応
- IPX5防水
- 専用アプリ「QCYアプリ」対応
Amazonの価格は6000円台前半ですが、概ね30%OFFのクーポンが提供されており、実質4000円台で購入できる製品ですが、機能的には他社の完全ワイヤレスイヤホンでも上位製品に近い機能が網羅されており、足りないのは高音質コーデック(LDACやapt-X Adaptive等々)くらいではないでしょうか。
本機「QCY ArcBuds」(HT07)の最大のウリは「最大45db」と謳われている強力なアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能といってよいでしょう。本機のANCは、単純にON/OFFだけでなく、専用のスマホアプリを利用することで「室内」「通勤」「騒がしい環境」の3つのモードと、それぞれ3段階の効き具合の調整ができるようになっています。
また、通話機能にも配慮されていて、計6基のマイクと通話時ノイズキャンセリング機能が搭載されていて、電話やWeb会議などの用途にも活用できそうです。
音楽再生時間は本体のみで8時間と長め、充電ケース併用で最大32時間とされているので、実用上バッテリーが足りないと思うことはほぼないと思います。
これ以外にもIPX5相当(シャワー等の水流を浴びても大丈夫な程度)の防水性能や、スマホアプリ対応等々、考えられる機能は大体搭載しているという、機能面ではとても優れた機種に仕上がっています。
パッケージ内容
QCY ArcBudsのパッケージ内容は本体のほか、充電ケーブル(USB TYPE-C)、イヤーピース(S/M/L、Mは本体に装着済)、マニュアル(中国語、英語)です。マニュアルについてメーカーに問い合わせたところ、日本語マニュアルのPDFをAmazonの販売ページにある「商品ガイドとドキュメント」欄の「ユーザーガイド (PDF)」からダウンロードできるとのことです。
外観
充電ケース
QCY ArcBudsの充電ケースは丸みを帯びた形をしていて、実測ベースで幅60mm、奥行き43mm、高さ25mm程度と、比較的小さいほうです。表面はさらさらしていて光沢のないブラックです。充電ケースのつくりはそれなりで、高級感は感じません。
本体を収納した状態での重量は約35g、持った感じはかなり軽い印象です。
充電ケースのふたの天面にはQCYのロゴがゴールドであしらわれています。ケース背面側にUSB TYPE-Cのコネクタが配置されています。
本体を収納した状態で充電ケースを開けるとこんな感じ。収納状態なのに本体が思いのほか飛び出していて最初びっくりしましたが、飛び出しているおかげでケースから取り出しやすいです。
本体
本体のサイズも小さめで、ステムのない形状をしています。QCYロゴがあしらわれた面がタッチセンサーになっていて、操作はここをタッチすることで行います。
片耳の重量は約4.7g。標準的な重さといってよいと思います。
本体の厚みは実測17mmといったところです。
最近の完全ワイヤレスイヤホンの場合、ジョイントやイヤーピースが楕円形をしていることが増えている気がするのですが、本機は普通の円形をしています。
AirPods Proと比較してみた
QCY ArcBudsをAirPods Proと比べてみました。ケースの大きさはAirPods Proと同じくらいの大きさですが、重量は明らかにQCY ArcBudsのほうが軽いです。
本体も比べてみました。右のAirPods Proの頭の部分が膨らんだような感じで、比較的コンパクトなほうだと思います。
音質・各種性能
音質レビュー
本機「QCY ArcBuds」は、対応コーデックがSBCとAACのみです。最近発売された機種に見られるようなLDACやapt-X Adaptiveなどの高品位コーデックには対応していません。ただ、これら高品位コーデックはAndroid機にしか対応していないため、iPhoneを使っている方であれば大きなアドバンテージがあるわけではありません。このあたりは割り切ってコスパを追求しているものと思われます。もしかしたらと思ってLDACやapt-Xに対応したAndroid機に接続してみましたが、スペック通りAACでの接続となりました。
本機で音楽を一聴してみての感想は「低音域が強力」です。バスドラムはドン、ドンと力強く響いてきますし、ベースでも低い音域についてはもう深みがあっても良い気がしますがちゃんと鳴っています。ベースの中心音域ではしっかりズーンと響き、ディスコファンク等でもブイブイ感がちゃんと表現されていて、かなり優秀です。低音部分の定位感もしっかり表現されているように思います。
中音域に関しては、低音域ほどではないですが適度なバランスで鳴っています。ボーカルやピアノ、ギターの音もしっかり細かいところまで聞こえてきており、音と音の分離感は若干甘い部分はありますが悪くないので、それぞれが埋もれてしまうことなく存在感のあるサウンドを奏でてくれます。
ちょっと気になるとすれば高音域でしょうか。全体感の中では最も弱く、シャリシャリすることなくおとなしく鳴らしている印象です。このため、シンバルの音などが若干濁っていたり、ピアノやボーカルのツヤ感、ドラムヘッドの張り感などの表現は物足りなさを覚えるかもしれません。好みの面はありますが、後述のアプリを使えばある程度までは改善できますが、若干の濁り感が残るのと、やりすぎるとキンキンうるさくなってしまうので、この音質であればデフォルトのチューニングが正解な気もします。
音域以外の部分では、音の空間的な広がりは弱めかと思います。また、場の空気管や緊張感のようなものを繊細に表現するというよりは、がつがつ力強く鳴らしていくような印象を受ける音づくりです。
これまで聞いたイヤホンの中では、SOUNDPEATS社の音の傾向に似ている気がします。直近聞いたところでは、「Mini Pro HS」と割と近い印象を受けました。Mini Pro HSはより低音が強い印象ですが、大まかな方向性は同じで、Mini Pro HSはLDACに対応している点で本機「QCY ArcBuds」よりも優れいていますが、実売価格で2000円程度の差があります。「QCY ArcBuds」はかなり頑張っているほうだと思います。
アクティブノイズキャンセリングの性能
本機には最大45dbを謳うアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能がついています。5000円以下のイヤホンの場合、この数字が30db台後半だったりすることが多いのですが、本機はそれに比べるとスペック上は強力なANCを搭載していることになります。
実際に使ってみた感じですが、4000円台で購入できるイヤホンのANCとしては強力なほうだと思います。感覚的には6000~7000円で購入できるイヤホンと同程度の効き具合ではないでしょうか。室内においてはエアコンの音はだいぶ軽減されますし、電車で地上区間を走っているときには低音域を中心に軽減されます。電車の地下区間ではさすがに音を軽減しきることはできていないですが、イヤホンを外してみるとANCが効いていることはわかります。また、地下区間では周りの音が大きすぎて逆に変なノイズがのってしまう場合がありますが、本機についてはそういったことはありませんでした。
ただし、過度な期待は禁物で、AirPods Pro(第2世代)と比べると歴然とした差があります。感覚的には同じQCYのHT05とか、SOUNDPEATSのMini Pro HSなどとほぼ同じレベルに感じました。
本機は一度充電ケースに戻しても直前のANC ON/OFFの状況を記憶していて、一度ANC ONにしておけば、次に装着したときにもANC ONの状態で復活することができます。これができない機種も結構あるので、地味ですが本機の使い勝手は良いと言えます。
また、特徴でも触れたとおり、本機は専用のスマホアプリを利用することで「室内」「通勤」「騒がしい環境」の3つのモードと、それぞれ3段階の効き具合の調整ができるようになっています。ANCをONにしても耳詰まりのような圧迫感は少ないので、基本は最も強力だと思われる「騒がしい環境」+3段階目で使うのが良いかと思います。
ANC ONの場合、風切り音が結構派手に聞こえてきてしまう機種もありますが、本機の風切り音は比較的優秀なほうだと思います。気になる場合は、アプリのアクティブノイズキャンセリングの項目で「風切り音カット」を選ぶと風切り音がカットされます。ただし、ANCは機能しているのかしていないのかわからない感じになりますが・・・。
マイクの性能
本機「QCY ArcBuds」は、6基のマイクを搭載し、ENCノイズキャンセリングに対応しているなど、マイクにも気を使っているように見受けられます。実際Zoomを使って確認してみたところ、若干シャリシャリしているものの、声はこもることなくちゃんと拾っており、普通の声量でも十分相手に伝わる音質だと思います。
遅延度合い・ボリューム
遅延についてはノーマルモードでYoutubeをみても違和感はなく、十分実用的だと思います。仮に違和感があるとしても、本機にはゲームモードを搭載しているので違和感の軽減は可能だと思います。
また、iPhoneで使用する場合、最低音量にしても大きめの音になってしまう機種もありますが、本機はそのようなことはなく、最低音量ではきちんと小さな音量になるので、安心して使うことができると思います。
アプリ対応
本機はQCYのアプリ「QCYアプリ」に対応しています。アプリはANCの効き具合、イコライザー機能、ボタン操作方法の変更、ゲームモードON/OFF、ファームウェアアップデート等が可能です。
総評
「QCY ArcBuds」(HT07)は、4,000円台で購入可能な製品ですが、アクティブノイズキャンセリング機能、低遅延ゲームモード、防水、ENCノイズキャンセリング、IPX5相当の防水、アプリ対応等々、機能てんこ盛り、音質はそこそこ、という感じでかなり良好なコストパフォーマンス機に仕上がっています。
搭載している機能についてもお飾りではなくきちんと機能していて、特にアクティブノイズキャンセリングについては5000円以下の機種の中ではかなり効きが良いほうだと思います。音質についても高音域が物足りない面はありますがそれ以外は良好で、その高音域もアプリを使えばある程度調整ができます。通勤・通学などで電車に乗る方には価格も含めて良い選択ではないかと思います。
なお、Amazonではほぼ常時30%OFFクーポンが配信されていて、概ね4400円弱で購入できます。
なお、高音域を最も重視される方は同じQCYの「HT05」のほうが良く出ていると思いますので、こちらを選ぶという選択肢もアリかと思います。お値段は数百円~高くなり、本体、ケースとも少し大きくなりますが、機能はおおむね一緒です。
Appendix. 操作方法
ボタン操作
本機の操作は本体のQCYロゴの部分をタップすることで行います。下表では便宜的にタッチパネルをボタンと表現します。
再生/一時停止 | L(左)ボタンまたはR(右)ボタン×2回 |
音量を上げる | – |
音量を下げる | – |
次の曲へ | Rボタン×3回 |
前の曲へ | Lボタン×3回 |
電話にでる/電話を切る | LボタンまたはRボタン×1回 |
着信拒否 | 着信時にLボタンまたはRボタンを1.5秒長押し |
音声アシスタント(Siri/Google) | Lボタン×3回 |
ノイズキャンセリングモード切替 | Rボタンを1.5秒長押し |
ゲームモード切替 | Lボタンを1.5秒長押し |
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