2023年12月、ダイソーのイヤホンは新製品ラッシュです。確認できているだけでも、500円で買えるイヤホンで6種類(ハイレゾ対応が3種類、USB-C端子対応が1種類、ワイヤレスイヤホンが2種類)、1000円の完全ワイヤレスイヤホンが1種類です。今回レビューするのは、「完全ワイヤレスイヤホン2(タッチセンサー、タイプC充電対応)No.8797」1000円(税込み1100円)です。本製品は、以前販売されていた「完全ワイヤレスイヤホン(タッチセンサーボタン、タイプC充電対応)No.8988」のバージョンアップ版になります。実際に使ってみたところ、パッケージに書かれていないスペックも含め、性能向上が図られていることがわかりました!2023年最後の新型完全ワイヤレスイヤホンとなった本製品をいろいろレビューしたいと思います!
(2024.01.06)カラーバリエーション「白」(No.5823)が登場しています。パッケージのデザインは黒のNo.8797と同じで、性能も一緒です。
製品の特長・性能概要
- イヤホン本体で約6時間の再生時間(充電ケース15時間と合計して21時間)
- タッチセンサー対応
- USB TYPE-C充電対応
- 箱・説明書には書いていないけれど、AACコーデック対応
- Bluetooth5.3対応
前書きでもふれたとおり、本機は「完全ワイヤレスイヤホン No.8988 TWS_G273_1」のバージョンアプ版と言えるもので、本体・充電ケースともにNo.8988と同じ形をしています。バージョンアップポイントは再生時間で、以前のNo.8988は3時間でしたが、新型の「完全ワイヤレスイヤホン2 No.8797」は、倍の6時間再生が可能です。充電ケースについても以前のNo.8988が9時間、新型No.8797は15時間と大きな違いがあります。スペックをよく見てみると、実は充電ケースのバッテリー容量自体は新旧とも300mAhなので、再生時間が伸びているのはBluetooth Ver5.3に対応して本体の省電力化が図られたためのようです。
パッケージには対応コーデックとして「SBC」しか書かれていませんが、スマートフォンに接続してみると「DAISO_TWS_G273_3」という名前で、「AAC」コーデックで接続されます。以前のバージョン(G273_1)は本当にSBCのみだったので、バージョンアップポイントの1つといっていいでしょう。100均の製品にはわりとありがちな現象ともいえますが、せっかくなのできちんとアピールすればよいのにと思ってしまいます。
うれしいバージョンアップポイントを2点ほど紹介しましたが、実は機能ダウンといっていいポイントが1つあります。それは、本機が「日本語アナウンス非対応」になってしまったことです。以前の機種ではパッケージにも「日本語アナウンスでわかりやすい」と書かれていたのですが、それが本機「完全ワイヤレスイヤホン2」ではアナウンスが英語で流れてきます。
マニュアルにはQRコードがついていて、動画でペアリング方法の解説を視聴することができます。リンク先のドメインは「daiso-g273.com」で、わざわざこのイヤホンのために用意されたドメインとなっています。だいぶ手が込んでいます。
なお、本機は防水には対応していません。マニュアルも水気のある場所や結露しそうな場所では使わないようにと書かれています。
総務省の電波利用ホームページで技適番号を検索して出てくる資料を見ると、本機に使われているチップはZhuHai JieLi Technology社の「AD6983D」で、バッテリーは保護回路なしで容量35mAhのものが使われているようです。AD6983DはダイソーのBluetooth製品で良く使われているチップです。
パッケージ内容
パッケージの内容はシンプルで、本体のほかは充電ケース、マニュアルのみです。充電用のケーブルは付属していませんので、USB TYPE-Cケーブルを持っていなければ購入する必要があります。
外観
充電ケース
充電ケースはやや背の高い箱のような形をしています。プラスチック製ですが、上面はヘアライン加工されていて、ちょっとしたアクセントになっています。サイズは実測値で横58.5mm、縦37mm、高さ30mmで、旧型と見分けがつきません。表面には、バッテリー残量を示すための青色LEDが配置されています。
裏側にはUSB TYPE-C端子がついています。外側のつくりは1000円のイヤホンとしては優れているほうで、プラスチックが薄っぺらいといったこともなく、ふたの開閉もスムーズです。
収納した状態だとこんな感じです。本体の収納、取り出しいずれもスムーズに行うことができます。本体固定用のマグネットの力はなかなかなものです。
充電ケースの重量は、本体込みで38.6g程度。ケースの厚みがあるためか、軽く感じます。
本体
本体タッチセンサー部分には充電ケース同様にヘアライン加工が施されています。タッチセンサー部分にはマイク用の穴があります。本体も全体的にプラスチック感が強いですが、しっかり作られている印象です。マイク穴の横にはLEDがついています。
内側にはL/R表示と充電端子がついています。
イヤーピースは一般的なものと比べるとややとんがった形をしています。
耳に差し込んだイメージはこんな感じ。
本体重量は約3.9gほどです。
他機種と比較してみる
AirPods Proと比較
ケースの大きさ自体はAirPods Proより小さいのですが、厚みが1.3倍くらいあります。
本体の大きさはAirPods Proよりやや小さいくらいです。
旧型と新型を比べてみる
2022年の旧型「完全ワイヤレスイヤホン」と、2023年の新型「完全ワイヤレスイヤホン2」を比べてみました。どの写真も左が旧型、右が新型です。見た目は本当にそっくりで、見分けがつきません。
かろうじてケースの裏面に書かれている技適番号(旧型が210-175007、新型が210-215912)と会社名(旧型が株式会社TFN、新型が株式会社NTD)で見分けがつくレベルです。
本体に至っては全く見分けがつきません。
音質・機能レビュー
音質レビュー
旧機種では、スマートフォンとの接続直後にかすかなノイズが生じることがありましたが、2023年の新型「完全ワイヤレスイヤホン2」No.8797については特にノイズもなく、問題なく接続できました。
旧型(No.8988)も2023年の新型(No.8797)も、パッケージには「低音から高音までクリアな音質」と書かれています。実際聞いてみたところでは、低音は強めですが、高音域は伸びていない印象です。高音域が伸びきらないためか音のヌケ感がイマイチです。こもった音とまではいかないのですが、解像感やクリアさに欠ける印象があります。音の広がりは乏しく、中心のかなり近いところで音がまとまって鳴っている印象を受けます。
低音域はしっかりしていて、バスドラムのドンという感じはそこそこ出ますし、ベースの音はやや輪郭が甘いもののこれもちゃんと聞こえます。中音域も変に引っ込んだりといったこともなく、ボーカルや人の声は聞きやすく、ギターやピアノの音もしっかりしています。前述のように高音域が弱いため、細かなニュアンスが伝わるまではいかず、音のツヤ感とかハリ、みたいなものは表現しきれていません。
いろいろ書いていますが、低音強調ではありますが音のバランスは良く、高音が上まで出ない分全体的にマイルドな音で破綻なく聴くことができます。ある意味うまくまとまっているので、これはこれでアリなんじゃないかと思います。
ちなみに、旧型と音の傾向はほぼ同じです。旧型(No.8988)の自分のレビューを改めて読んでみると、結構辛辣に書いてますが、あれから1年ちょっと、いろんなイヤホンを使ってみた感じでは、このワイヤレスイヤホンはこの値段にしては頑張ってる印象が強いです。
本機のイヤーピースの装着感は良いほうですが、上を向いた時などにやや低音がぬけてしまうことがあります。代わりのイヤーピースを探してソニーの「ハイブリッドイヤーピース」、finalの「TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様(クリア)」、オーディオテクニカの「完全ワイヤレスイヤホン専用スペアイヤピース ER-TW1」と100均のイヤーピースをいくつか試してみました。ほかの100均イヤホンと違い、音質の変化は大きくないものの、この中では価格と音質のバランスを考慮するとオーディオテクニカの「完全ワイヤレスイヤホン専用スペアイヤピース ER-TW1」が相性がよさそうです。値段も安く品質が良いので良くオススメしているソニーの「ハイブリッドイヤーピース」だと、音がマイルドになりすぎるので、今回はあまりお勧めできませんでした。finalのイヤーピースも当然良いですが、今回はお値段を考慮してこのようなチョイスにしてみました。
遅延・音量・マイクの音質など
動画視聴時の遅延
遅延度合いを確認するために、「Xiaomi Mi 11 Lite 5G」を使って計測してみたところ、445msと出てきました。本体自体の遅延が70ms程度あるので、実際は375msほどになります。これは同じダイソーの「TWS001」と同じくらいのイメージで、数値上は遅延がそれなりにあるほうになります。
実際、Youtubeを視聴してみたところでは、大多数の動画はさほど気にならないのですが、一部の動画でワンテンポ遅れを感じる場合がありました。計測数値はどの動画も違和感を感じるレベルといってもいいのですが、実際は一部の動画に限られる結果でした。ちなみに、特定のジャンルで遅れるというわけではないようです。
iPhone使用時のボリューム調整
iPhoneと接続して使っていると、最小ボリュームでも大きな音がしたり、音量の変化が極端だったりする場合がありますが、本機は優秀といってよく、AirPods Proでいえば2段階目くらいの音が最小で、そこから結構緩やかに音量が上昇していきます。ボリューム面で不満を感じることは少ないと思います。
マイクの音質
マイクの音質は比較的良好で、Zoomを使って確認してみたところ、こもりが強いといったことはなく、きちんと相手に伝わるくらいの音質で声を拾ってくれました。
まとめ
2023年12月にダイソーから発売された新型イヤホン「完全ワイヤレスイヤホン2(タッチセンサー タイプC充電対応) No.8797」は、価格は1000円(税込み1100円)のまま、本体の再生時間が6時間に伸び、非公式ながらAACコーデックに対応するなど、昨年登場した旧型と比べて完全ワイヤレスイヤホンとしての完成度が高まっています。
音質面では、低音域は強め、高音域は音の伸びがいまいちでややクリアさに欠けるものの、全体的にバランスが良く、破綻のない音質にまとめられていて、1000円という価格としては合格点の出来栄えです。
本機「完全ワイヤレスイヤホン2 No.8797」は、音質はそこそこで良いので、なるべく安く完全ワイヤレスイヤホンを購入したい方にとって良い選択肢と言えると思います。少なくとも、Amazonで売っているよくわからないメーカーの2000円程度の機種を適当に買うくらいなら、本機を買ったほうが確実と言えると思います。
ダイソーの他の機種と比べてどうなの?
ダイソーでは、2023年12月時点で、「TWS001」「E-TWS-1(黒)」「E-TWS-2(白)」「TWS002」「完全ワイヤレスイヤホン G036(No.3202)」あたりが併売されているようです。これに今回の新製品「完全ワイヤレスイヤホン2 G273(No.8797)」を加えて、どれを買えばよいのか、パッケージからはなかなか想像がつかず、悩ましいところかと思います。
全ての機種を聞いた当サイトとしてのオススメは、「完全ワイヤレスイヤホン G036(No.3202)」または「TWS002」、今回の新製品「完全ワイヤレスイヤホン No.8797」です。No.3202は日本人技術者がチューニングした音質やゲーミングモードなど、この中では一番良い音質かつ機能も豊富ですが、機能に全振りした分見た目が安っぽい感じがします。TWS002はケースのつくりが良く、音質もメリハリがあり、動画も違和感なく見られます。No.8797は、音質面で高音域はTWS002より劣りますが、それ以外は音のバランス面でTWS002よりも聞き疲れしにくい感じに仕上がっています。TWS002はイヤーピースがSサイズ、No.8797のイヤーピースはMサイズなので、使う人によっては追加でイヤーピースの購入が必要です。
Appendix.
再生/一時停止 | R(右)ボタン×1回タッチ |
音量を上げる | L(左)ボタン×1回タッチ |
音量を下げる | L(左)ボタン×2回タッチ |
次の曲へ | Rボタン×2回タッチ |
前の曲へ | Lボタン×3回タッチ |
電話にでる/切る | Rボタン×1回タッチ |
着信拒否 | Rボタン×2回タッチ |
音声アシスタント(Siri/Google) | Lボタン×3回タッチ |
ノイズキャンセリングモード切替 | – |
ゲームモード切替 | – |
ペアリングモードへ入る(リセット) | – |
コメント